Negishi Takuhei

根岸卓平の演奏日程と、その後記

【ライブ予定】

2018.06.22(金)
於 大久保 ひかりのうま
(〒169-0073 東京都新宿区百人町1-23-17-B1)
音楽と珈琲 ひかりのうま

【出演】

adv./door 
open/start 

【おしらせ】

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≪新作情報≫
根岸卓平 "2016.11.11(CDR/500円)"
1st e.p."とき"の発売記念イベントでの演奏の様子を収録しています
気合の入った演奏でしたので、ゼヒ聴いてほしいです
ライブに来るキッカケになれば嬉しいです

通販ページ⇒https://uncowakige.thebase.in/

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演奏のお誘い/ご予約/お問い合わせはこちらまで
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木の鍵(Official Homepage)
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【後期】2018.05.22(火)於 大久保 ひかりのうま

【出演】

後藤真一郎
ババカヲルコ
夜久一 
根岸卓平 

ご来場ありがとうございました。


「ひかりのうま」さんは、関西にいるときからお名前をよく耳にしていて、どんなとこなんやろうと思っていたけれど、すごくいいところだった。お店の雰囲気もわたし好みで、お店の方々もとても柔らかだった。


後藤さんはギターがとても上手で、いい声だった。わたしより年下と聞いて、少し驚く。ババさんの声、とても可愛かった。ピアノが弾けるっていいなぁ。夜久さんは、子供と老いた人たちの、あいだにいるような声だった、それは少年でも青年でも中年でもなく、そういう、”楽器”だった。目まぐるしくも、間を大切にするギターもカッコよかった。


私は声に引っ張られるような、演奏がしたいなと思っていた。今まで、ギターが不得手なじぶんが、とてもニガテで、ギターにばかり集中してしまって、するとまるで歌っているのが楽しくないと気づき、どうせうまく弾けないのなら少し開き直ってみようと思いました。人それぞれだと思うけれど、わたしはギターより断然、声の方が直感的にわたしの心情を汲み取ってくれるし、信じるに足る素直さもあると思う。


ババさんが、神戸ってネギシさんみたいな人がいっぱいいるんですか、と言ってくれて面白かった。思ってもない質問だったので、じぶんも「いえ全然!荒野です!」とよくわからない返答をしてしまった。


観てくださった方々とたくさんお話しできたのもよかった。お店の自家製ツナが美味しくて、お酒もいくつか煽ってしまった。


ひかりのうまさんを出て、清岡さんと新宿で飲み直す。中央線の終電に乗って、2人して国立で下りる。駅前のバス停に座って、コーヒーを飲む。


「あなたの音楽って、コアな政治性がありますよね」。初めそう言われたときに、よく意味がわからなくて、政治性というのが、わたしにとって曖昧かもしれません、と真意を訊ねると、清岡さん曰く、人間の思いや考えは、何も言葉にできるものだけでなく、仕草や所作に出るもので、それはもちろん、政治にまつわる態度や意見の表明方法につながるものだという話だった。だから、その考えで行くと、無音を信じて演奏に還しているわたしは、”コアな政治性”を持っている、という話だった。


東京に来てから、曲を10曲くらい作っては全部捨てていて、それはせっかく東京に来たんだし、いつもとは違う曲を作ろうと思って作ったもので、そういったものの中に、社会的なステイトメントを”わかりやすく”織り込んだような、歌を作ったりもしていた。


わたしはSigur RosとAntony&the Johnsons~Anohniが好きで、どちらも愛おしい音楽で、Sigur Rosの方は、ヨンシーがゲイであると公言している以外、音楽に関して彼のセクシャリティが表出するようなことはまるでない。それは彼が造語で歌っているという点でも明らかで、一方アントニーの方は、割とセクシャリティと歌は切り離せないもので、最近はことに政治的なアティチュードの色も強いようにも思う。それがいいとか悪いではなくて、でもわたしは、ヨンシーの音楽のスタンスに惹かれる。匂い立つ”政治性”がSigur Rosにはあると、ずっと信じている。あればいいというわけではないけれど、思い返した時にふと、あると信じれるような。だけど雑誌を見ると、シガーロスよりも断然アントニーの方が、たくさん”語られている”。当然といえば当然だけれども、釈然としない感もあり、試しに作ってみよう、と相成った。


とはいえ、途中で飽きていく自分にも気付いた。作れば作るほど、つまらなくて、直接的な表現をわたしがすると、どうしても嘘っぽく聞こえるし、何より、“言外の意味”を信じたいのだとも気づく。


わたしは、言葉の持つイメージが別のイメージに反応して、また新たなイメージを呼応び、さらなるイメージを作るようなものが好きだし、それは音とか目に見えるものとか、その時に触れるものや舌の感じ、匂い、全てがより重要なものとして捉えられるように思う。それは今まで表現し得ていたものではない、違うイメージやメッセージを産むものだと思うし、単にワクワクする。


無音の持つ情報量を信じているのもそうで、無はあらゆる音と響き合っている。清岡さんはそれを「死者に向けて演奏する感じ」と自身の演奏について言っていた。


311の震災怪談を読み漁っていた頃、「怪談とは、死者と生者が出逢う場所」という表現を知り、言い得て妙だなと思った。わたしは清岡さんみたいに、死者に対し直接歌っているのではないけれど、ひとの心の中にある亡くなった感情や、ないものとされている記憶とか、そういったものに歌えたらいいなと、思っている。それはわたしの”政治性”のひとつと言える。


そう言ったことが清岡さんには伝わっているんだと思うと、嬉しかった。お互いやっている音楽は違うけれど、シンパシーを覚えるのは、そういうことなのかもしれない。


スマホの隠しフォルダにある「秘蔵の塩顔ガリガリおじさん(身長低め)コレクション」を見せたりして、「本当にどうでもいいです」と言われたりしていると、気づけば3時半になっていた。清岡さんとバイバイして、迎え酒に缶ビールを一本買って飲んで帰る。


家の前に立つと、家主のおばあちゃん家の鳩時計が、4時を告げていた。


1.鳳 2.白い栄華 3.黄金の鳴る 4.架空 5.骨と燈 6.千年 7.一億の夜

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【後期】2018.05.13(日)「亀有三人会」於 亀有 KID BOX

【出演】
アニュウリズム
宮永遼平
根岸卓平

アニュウさんと宮永さんとの、3人会でした。

当日は「火の輪くぐり」という私の歌を宮永さんにエレキで手伝っていただくという算段で、亀有へ。宮永さんと合流。スタジオが空いておらず、カラオケにいくも、軒並み満員であり、困っていたところ、とあるカラオケ店についた途端、つんく♂さんの声が有線から聞こえ、「ここやな」と2人で顔を合わせる。

実際、空いており、ここでもつんく♂さんからの恩恵を授かったような気持ちになる。ほんと感謝しかない。人生のあらゆる局面だけでなく、ときにわたしたちを導いてくれるつんく♂さん。せっかくやし、ということで宮永さんが「オシャレ!」を、わたしは「色っぽい じれったい」を歌う。

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わたしは合奏が初挑戦で、正直前週に行った初回の練習は、生きている心地がしなくて、でもなんとか追い付けるような気持ちに当日はなっている。宮永さんの、ギャインビュギィン、といった、アヴァンギャルドな音がかっこいい。

「火の輪くぐり」という歌は、さきの11月の、七色ラブレターズさんの、「人前で披露したことがない曲を披露しよう」と銘打たれたイベントで、初めて披露した。その際、ひとりでするのがすごく不安になった曲だったので、これまでのセットリストから外していた。誰かのギターがあればいいなと思っていたときに、今回の共演のはなしがあったので、宮永さんにお願いしました。

七色さんのイベントは、引っ越しが祟り、後期を書けなかったけれど、すごく大きな日で、共演のみなさん、なにより七色さんとダイナシーさんご夫婦の温かさと、キッチュな愛らしさを、わたしはビザールなギターケースの、どこかに詰めて、東京に持ってきたということを余談として、ここに追記する。

歌ったり弾き語ったりしていると、アッと言う間に二時間が経つ。宮永さんがのど飴を落として、店を出て、雨が降っていて、よくわからないけれど、亀有やなと思った。アニュウさんはもう、会場にいた。

リハーサルのあと、3人で、銀だこでたこ焼きを食べる。アニュウさんのことを日能研のリュックが似合うひとやなとかねがね思っていたけれど、当日塾のはなしを自らし始めてくれたので、よかった。

本番はアニュウさんから演奏がスタートして、気づいたことがあって、というのがギターをキッドボックスさんから借りてたからというのもあるのかもやけど、アニュウさんのギターは時々、「吃る」瞬間があって、それはUKトラッドの「吃りかた」やなと思った。早さも固さも、わたしの好きなそれだった。

「私の心」はほんまにすごく、共演するたびに披露してくださるから、うれしい。

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宮永さんは新曲がすごく、どうしてこんな、と思う。「夜を結んで/捨てる」って、書けない。捨てるんか…。すこし考える。まえの夏の宅録のデモに入ってた2曲も、よかった。擬音と硬質な言葉と、流麗なギターの関係に憧れる。

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最後がわたしで、もっといろんなところで演奏したいなぁと思った。やっぱり人前に立つのは、うれしい。

最後の最後で、「火の輪くぐり」を宮永さんと合奏した。緊張したけれど、失敗も山ほどあったけれど、楽しかった。

演奏が終わり、キッドボックスさんを後にしても、まだ飲める時間やなというはなしになり、白木屋にいく。せっかくやし、もっと3人で何かできたらいいな、という話になる。それが何なのかはわからないけれど、ひとりでいることに、もう飽きてしまっている。

ハイボールを買って、飲んで帰る。

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【後期】2018.03.17(土)於 浦和 居酒屋ちどり

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出演:
アニュウリズム×宮永遼平
どろうみ
根岸卓平

ご来場ありがとうございました。

ちどりさんはクークーさんだったときにお世話になっていて、どんなお店をどんなひとがしてるんだろうと思っていたのだけれど、扉を開くと体格のいい男性がいて、すぐにちどりさんだとわかった。どことなくコーヘーさんに雰囲気似てるなと思った。芯があって、スクッとしているというか。埼玉の遺伝子なんだろうか。わたしの耳の悪さにも付き合ってもらって、丁寧にPAをして頂いてありがたかった。「店舗責任者」のところに「千鳥」という名前があって、本名なんや、とちょっと感動した。

一番手は主催のアニュウさんと宮永さん。2人はソロだと、アニュウさんは繊細で宮永さんは朴訥としていて、これが埼玉、とわたしはよく思うのだけど、デュオになると叫んだりアヘ顔したり、クイズしたり罵ったりして、楽しそうだった。あふりらんぽみたいですね、って言いそうになったけど、褒め言葉に捉えられるかどうか不安なので止しておいた。ギターがジャンクでかっこよかった。ジャンキーじゃなくてジャンクのかっこよさだったと思う。

二番手がわたし。今回はむかしの曲も披露したいなということからセットリストを考えていて、というのも、環境が変わったので、今までのじぶんをふり返ってみようという気持ちだったのです。すこしアレンジも、右指の使い方含めて、変えたりして望んだ。なんでそこ失敗するかね、というところばかりミスしてしまって後悔ばかりだけど、毎回そんなこと言ってるなと帰り道に思う。気づいたけれど、ようは演奏中の気の保ち方なんだろうなと思う。ここはミスしそうなら一呼吸置くとか、それくらいのことをしないと達成できないようにも思う。1、2曲めの流れは、滑るような感覚があって気持ちよかった。

最後に恵比寿マスカッツの「親不孝ベイベー」を披露した。Twitterで宮永さんに謝りたいことがあると散々喧伝していたのだけれども、すべてはこの楽曲への”フリ”であって、というのが、話すのがババほど長くなるので詳しくは割愛するけれど、つまり宮永さんとポエムでツーマンしたときにBerryz工房の「ガキ大将」を披露するって約束をしたのに、すっかり忘れてしまった。今一度ここで謝りたいというので、謝って、せっかくなので「ガキ大将」を披露したい。だけど、若干ハロプロへの愛が薄れてきているので、代わりといっちゃあなんですが、恵比寿マスカッツを披露します、というくだりで、披露しました。曲への思いはこちらを参照していただくとして、こういう、きちんとリズムや展開のある曲って、むずかしいなと改めて思った。じぶんのなかにまだ、その様式やその引き出しが、少ないんだろう。歌っているときに頭のなかで、恵比寿マスカッツのみなさんが全然ツイストしてなかったので、もっとツイストさせたい。

三番目手がどろうみさん。わたしより皆さんお若いのに、大陸的な雰囲気があり、異国のような、でも「いま」っぽさもあった。ザ・フォークといったようなギター、軽やかな太鼓の音、それからめくるめくピアニカとアコーディオン。ご本人たちにもお伝えしたのだけど、上々颱風をちょっと思い出した。「明るい曲」と紹介していた曲は「愛よりも青い海」のようでもあった。でもちょっと尖っていて、だから「いま」なのかもしれない(もちろん、上々颱風もとてつもなく尖っている)。

ボーカルの方と映画や文学のはなしがたくさんできてよかった。どろうみさんは仙台や岩手から出てきた方々のグループのようで、そういう地域のカルチャーのはなしも出来てうれしかった。

会場ではお久しぶりにお会いする方々はもちろん、アニュウ兄さんの幼馴染の方まで居て、あらゆるお話しができたのもよかった。酔ってきちゃって、ちどりさんの居酒屋メニューを食べようと意を決していたのに、フタを開けてみれば数多あるなかから選ぶのが困難となり、肴なしでジャブ飲みし、なんか楽しくなってきちゃって、アニュウ兄さんとmiyaと写真撮影したのに、なんか髪の分け目が気に入らねぇっつって、何度も撮り直して、気に入られねぇなぁ、生え際がよぅ、となり、いったんは落ち着いたものの、終電にギリで乗り込み落ち着いて、また見返して、なんなんだこの髪型はよぅ、キューティクルさんよぉ、ってな具合で、結局車中で写真を消去してしまって、朝起きて、すっげーヤな奴、じぶん、と自己嫌悪に陥る。すみません、またみんなで撮りたいです。

1.鳳 2.架空 3.白い栄華 4.骨と燈 5.みなかみ 6.千年 7.黄金の鳴る おまけ.親不孝ベイベー

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【後期】2018.01.22(月) 於 八丁堀 七針

出演 :
アニュウリズム
佐藤玲
根岸卓平

ビックリするくらいの豪雪で、窓あけても雪やし歩いても雪やし、滑るし寒いし、駅についても人まみれで黒く濁った雪のこびりついたコンクリ、電車満員。清岡さんからのライン、今日はぼくのでるイベントは中止になりました、という旨。ほんま、こんなんでイベントできんのん、と思った、


横殴りの吹雪を掻い潜り、シェルターのような七針、あけると、佐藤さんアニュウさん、林谷さんがストーブ囲んでて、やわらかな感じ、


イベントの中止が相次いだのもあったのか、フタを開けるといろんな方々が観に来てくださってうれしかったな、わたしが初めて七針で演奏した日も、そういえば雪の日だった、みんなゲンキにしてるかな、

佐藤さんはやわらかな女性のうたというか、これはじぶんでは作れないうただなと思った、あとアニュウ兄さんはわたしが”上京して初めて演奏する”ということに言及した上で、わたしの好きな「私の心」を歌ってくれて、粋なはからい、ほんまええうた、

わたしはトリで、なかなか不安点ばかり目についてしまった。例えばマイクや、足の組み方。椅子。指と弦の、関係。はやく自分にとっての「ちょうどいい」を知るべきだと思うのに、

だんだん気持ちも乗ってきて、そうだ、「架空」のころ。ああ、季節を思って、歌うことを忘れている、と思い出し、七針のそとの雪のことを思いながらうたった、七針のまえにはあたたかなお店があり、窓はくもり、すこしゆくと、曲がりかど、橋、ファミレス、

このうたは、若山牧水のことを思ったうたでもあった、たまたまカバンに忍び込ませた歌集、


とても楽しくMCもでき、もうひとりでダダーッと話してしまって、けれど、よかったというひともいてくれたし、よかったのかもしれない。あまり深く考えないようにしているので、揺れないじぶんがいる、

「さざなみ」に興味を持ってくださる方もいてうれしかった。熱心に読んでくださるかたもいた。なにをしていても、興味を持ってもらえるのはうれしい。

帰りに佐藤さんとたくさん話して帰った、お互いのこれまでのことを話して、佐藤さんはもともと絵を描いていたけれどいまは音楽にも興味があるというスタンスで、ルーツはちがうけれど、「作る」というはなしをするのは、どんなものでもうれしい、

1.鳳 2.実を吸うて 3.架空 4.骨と燈 5.千年 6.一億の夜

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【後記】2017.11.08(水) 「二つの窓」於 梅田 ハードレイン

≪出演≫
矢野汕骨
三好真
ドーラ
根岸卓平

移住まえ最後の演奏でした。

あまり気負わず、いつも通りの演奏ができればいいなと思いパフォーマンスをしました。前に共演した浜谷隼輔さんと話したときに、右指が弦にふれる場所や、その強弱で、当然だけど音は「変化する」という話をしていて、意識しながら披露したのだけど、どうだったのだろう。

顔の表情を含めての、「頭」を使った表現。さらにそれも含めた、ひろい意味での「身体」を使って歌っている、ということに触れた感想が多くて、とてもうれしかった。音楽は精神であり、それを伝える媒介としての身体。この1年、とくに意識して取り組んでいたので良かった(あとMCが快調だったので、とてもご機嫌でした)

共演の方々もよかった。氷をやぶらないよう歩く、そんな姿に似ているドーラさんから始まり、二番手の三好真弘さんは、都会ではない場所を都会的な感性で切り取っていた。声や恰好もよかった。三好さんの歌に出てくる土地に行くと、「うた」にさらに同期できるんだろうか。とても素晴らしかった。三番手はじぶんで、四番手は矢野仙骨さん。普段の矢野さんの様子とは違って、歌の中ではちょっと"クサい男"を演じているようで、かっこよかった(私はそういうひとが好きだ)。うしろに大阪湾が見えたような気がした。俳優だった。

お見送りもかねて、たくさんのひとが見に来てくれた。ブッキングのライブで、キャッシュバックからのギャランティを貰ったのは初めてだった(こんなにカタカナを使ったのも初めて)。ずっと見てくれてるひと、職場のひと、よくごはんに行くひと、呑みに連れてってくれるひと、じぶんもそのひとの音楽のことが好きなひと、来れないけれど連絡をくださったひと。みんなそこにいた。とてもよかった。

ハードレインには20歳そこそこの、演奏をしたてのころから出ていた。ギターを持って、半年とかのころで、ひととの距離感も今よりよくわかっていないころだったし、じぶんのことでアタマがいっぱいな時期だった。だからハードレインのスタッフさんの顔を見るだけでも、ちょっと恥ずかしい。もう8年も前のはなし。でもその頃から、メンツは変わっていない。しいて言うなら、SiMoNさんが増えた、くらいだろうか。

じぶんはほとんどライブ演奏をしていない時期もあったし、数年ほど、演奏する側としても観る側としても、ライブハウスから遠ざかっていた。だけど"Gossip Folks"を出して、もっと人前に立ちたいな、と思っていた時に、SiMoNさんから「YouTubeみました」「ハードレインに出ませんか」というメールを頂いて、それからまた、出るようになった。

SiMoNさんはblgtzのひとで・・・というはなしは、この記事にゆずるとして、そんなこんなで戻ってきても加納さんもノンちゃんもPAさんも、もちろんSiMoNさんも、とても温かく出迎えてくれた。

東京にいきます、といったとき、加納さんは「もっと早くてもよかったかもね」と言ってくれて、よくわからないけれど、すごく嬉しかった。ライブハウスに戻ってきてからのじぶんの動きを見ててくれてたんやろな、と思った。ノンちゃんとは、この日はノンちゃんが今ハマっている南京玉すだれとか森田さんのはなしをしていて、あんなこともあったねぇ、なんて話しつつ、最後のほうで、でもまたかえってきてええからな、と言ってくれて、そうだよなぁと思った。森田さんのトリビュートのときに見た、モノマネもそうなのだけど、回りをよく見ているひとなんだよな。

そろそろ帰ろうかなと思っていたときに、PAさんに呼び止められて、あなたはどうして東京にいくの。それはやっぱり、音楽のためなの、と訊かれた。

率直に、音楽のためです、でも音楽だけでなく、物書きとか詩とか、そういうことを中心にした生活を送りたいと思ったので、それなら東京がいいと思いました、と答えた。すると、あなたは絶対売れないよ、と彼女は言った。

そういうことじゃないねんけどな、と思っていると、続けて、あなたは売れない、だけど「それで苦しんではならない」といった、

PAをしていると仕事に集中したいから、なるたけ音楽の内容とか、耳には入らないようにしている。だけど、あなたの「うた」は、そうして律していても、ふとしたタイミングで急に言葉が、声とギターと一緒になって、飛び込んでくる。塊となって、投げ込まれてくる。そうすると、なんでこの言葉なんだろう、と私は思う。なんでいま、この言葉が、やってきたのだろう。すると頭から、離れなくなる。それらは、不可解なものが多い。私なりに推測をするしかないのだけど、推測すればいつも、フィクションだとしたら、どうしてこんなことを歌いたいんだろうと思うし、ノンフィクションだとしたら、何があったらこんな歌を作るんだろうと、思う。私そのものが、揺らいでしまう、

それはあなたの歌の「怖ろしさ」だと思う。戻ってきてからのほうが、それは強い。表現力が上がったとか、そういうこともあるのだろうけれど。

最初のころはどうしても、フェミニンな見た目もあって、エログロの要素もあったしで、なんとも思っていなかった。そういう音楽は、それっぽいファンとかがそれなりにいて、だから最初観たときは、まぁそういう音楽人生なんだろな、くらいに思っていた。先のことまで、読める音楽だった。だけど、あなたはエログロを振り切って帰ってきた。わたしは絶対「いま」のほうがかっこいいと思う、

だけど「ひっかかり易い」部分を自ら捨てたわけでしょう。それにあなたは、正解がわかっているのに、すぐ「ずらす」。そこに、落そうとしない。音楽の内容しかり、「さざなみ」のエッセイしかり。誤魔化すのも、はぐらかすのも、上手い。

その上手さが、「すごい」のだけど、それがわかるひとは少ない。だからといって、じぶんを悔いたり悲しんだり自暴自棄になるのは、お門違いだ。それがしんどいことなのはわかっているけれど。それでも、歌い続けてほしいし、そうするしかない。

そんなこと、わたしが言わなくても、あなたみたいな「うた」を歌っているひとのほうが長く演奏を続けるし、続ける分、たくさんの味方をつける。年を重ねることで豊かな「うた」を歌うことも知っている、

だからあなたは、歌い続けるしかない。

どんなふうに応えたかは、覚えていない。雨上がりの風が、すこし気持ちよかった。

本当にありがとうございました。

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写真はモツさんが撮ってくれたUncoWakigeRecords Tee。Mが4枚、Lが2枚あります。引っ越し代金に充てたいので、買ってよ。

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1.鳳 2.架空 3.骨と燈 4.実を吸うて 5.千年 6.一億の夜