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Negishi Takuhei

根岸卓平の演奏日程と、その後記

2016.11.14(月) 「赤い睫毛」 於 梅田ハードレイン

https://pbs.twimg.com/media/CxO_qk7UUAA0dIj.jpg

【出演】

つるんづマリー
藤井九郎
山本裕太郎(札幌)
アニュウリズム(東京)
ざらめの咲о
根岸卓平

ご来場のみなさんありがとうございました。レコ発のときとほぼ同内容の曲目なのですが、レコ発当日も、この日も、いつもより演奏の感想を言って頂くことが多かったです。それは、自分のなかの「ベスト」な演目だったからなのかな。「一億の夜」を披露するのは二回目でしたが、こちらでも評判がよかったので、うれしかった。演奏して高ぶると、どうもマイクから離れて歌うきらいがあり、課題だな、と思いました。「うた」なんだし、聴こえないと、ダメだよなぁと。

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この日はとても、大きな日で、というのが、ハードレインのサイモンさんに声をかけて頂いたのですが、サイモンさんは、私の高校生のときのサウンドトラックであるblgtzというバンドにサポートをされていた方なのです。それだけでも自分にとって、大きなことなのですが、共演のアニュウリズムさんが宮永遼平さんととても仲のいい方で、というか、宮永さんもサポートでアニュウさんに参加されていたり、共演されることが多々あり、そういうことで、お名前はずっと知っていたりとか、MVを見たりとか、ということはしていて、ずっと気になっていました。それで、2つの日程を提示されるなか、アニュウさんとの共演の日を選んだのですが、サイモンさんとの当日までのやりとりのなかで、実はアニュウさんはblgtzの初期メンバーだったということを知りました。アニュウさんが参加されていたアルバム「無人テレビの設計図」は本当に、爆発的にお世話になっていて、聴き返しては、自分がかっこいいと思う世界ってこれなんだよなと、よく確かめています。

blgtzを始めて知ったのは「無人テレビ~」の先行シングルの「アタシは水滴のフィルムウフフ」というシングル盤のジャケをbounceで見かけたときで、パイプ椅子がただ「ある」だけのジャケットで、ものすごく興奮しました。こんなすごいジャケットあるのかよと、思いました(マルセル・デュシャンのオマージュと、当日伺いました)。きちんとCDを手にしたのは「music from the motion picture soundtrack」という、ひとを食ったようなタイトルの作品で、これが本当によかった。つぶやきですらない、イマージュ未満の、「何か」。それを裏声で絶叫する。つたない演奏、単調な展開、しかしそのうえで、確かに轟音が鳴っている。異端であるということは、飽きない。かくも胸の澱を掻き乱す。すごい発明だと思いました。

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「とき」を制作するにあたり、口酸っぱく言っていますが、三つ子の魂百までやなと思っていて、blgtzも勿論聴き返していました。「ルネ・ラルーの友だち」という曲があるのですが、ルネ・ラルーの映像作品をようやっと見たりもしました。そこで10年来の曲の色も、変わったりしました。

「全員引きこもり」と謳っていたインパクトもすごく、当時のインタビューを見ると、ほんとにそうなんだな、と思えるような、口数の少ない若者が居て、かっこいいと思った。私は引き籠ることもできず、音楽もせずに、ただチャリンコを漕いでいく田舎道のなか、「無人テレビの設計図」でアタマをいっぱいにすることしかできなかったのだから。

当時はsigur rosと並んで「文章化」されることの多かった音楽なのですが、それはただ裏声だからとか、大きく括ると「ポスト・ロック」のなかに両者がいるからに過ぎないというだけで、blgtzには狂気を求めていたし、sigur rosには狂気を求めていなかった。それも、「変わったことしてるんで自分は」、みたいな感じではなく、信じている「美」がたまたまこうあったというだけで、その姿に猛烈に感動した。それはいま自分が創作に求めるものや、創作をするなかでの、「救い」や「癒し」の定義でもある。前名義の時分、私が女装していたのは、ボーカルの田村さんがそうしていたからです(もちろん、それ以外の意味もあります)。

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アニュウさんは当日、blgtz時のようなギターではなく、吃るようなギターを爪弾いていて、そこに繊細というより、空想のもつ、あやふやなイマージュのなかを浮遊するような歌を乗せていた。すごくよかった。アニュウさん、宮永さん、甲斐哲郎さんと、埼玉を軸にする男性SSW界隈に嫉妬した。

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つるんづマリーさんのことも私は勝手に存じ上げていて、というのが、私は怖coaを軸に姫路の音楽シーンを中高生の時分、明石という、近いようで遠いまちから、ネット経由で視ていて、当時からお名前は知っていた。急に距離が縮まったような気がしたのは、カニコーセンさんとマリーさんが親しくなったあたりからで、なんとなく、いつか会える気がしていたのですが、今回やっと対面することができ、それもうれしかった。マリーさんの歌は男の子の世界だなぁ、と思った。ほりゆうじさんは、ゆったりいこうよ~という感じなのですが、マリーさんは少年だからできる「斜めから世界を見る」という具合がよかった。好きな声だった。

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アニュウさんともマリーさんとも、初めてあったのに、旧知の仲のような気持になり、すぐに打ち解けた。お2人の縁から来場されていた、大ギンガ書房さんとも打ち解け、わたしの「ムシャクシャしたらサイゼリアで明太スパを二皿注文して自分を汚す」という話が発展し、4名でハードレインそばのサイゼに行き、打ち上げをした。ライブハウスでのライブのあとの打ち上げだなんて、初めてだった。

終電。blgtzや姫路を回想して、この日をもって「とき」のレコ発は完結したんだなと、思った。

≪曲目≫
1.鳳 2.実を吸うて 3.架空 4.骨と燈 5.千年 6.一億の夜