2018.09.09(日) 「亀有三人会」 於 亀有 KIDBOX
《出演》
アニュウリズム
宮永遼平
根岸卓平
ご来場ありがとうございました。
アニュウさんと宮永さんが居酒屋ちどりご夫婦の結婚パーティに参加してからの到着ということで、さらに開場開演時間を間違っていたわたしは、リハーサルのあと亀有を歩いた。思っていたより再開発されていて、店の間隔にポツポツ穴もある。良さげな立ち飲み屋はあったけれど喉のことを考えると、ただウロウロすることに始終するほかない。となりの綾瀬は女子高生コンクリート詰め事件があった町だけれど、距離が掴めていない。
スタートの時間にお店に着くとアニュウさんと宮永さんがいてホッとした。アニュウさんはお酒のあまり目の焦点の合ってない感じもあってどんどん脱いでいくしどうなるのかと目を瞠った。宮永さんはUncoWakigeReocrds Teeを着ており、町歩いてるとみんな振り向くんスよね、と言っていた。
今週の金曜日にカニさんとツーマンをさせて頂くお店・ラバンデリアの方が来て下さった。ちどりさんにもよく足を運ばれるそうで、いい空気。わたしたち以上におつまみを持って来てくださり、オトナってこういうことだなと感心しきりだった。
アニュウさんの新曲がとても良かった。「zabadakみたいですね」と言ったのだけど、何だろう、核がそうというだけで、全体がまんまザバダックではない。それこそ「メッセージ」みたいなものなのだろうか。新たな一面。宮永さんはアコギだったからか繊細な印象が強く、詞が重なってイメージが膨らんでいく様と合ってるなぁと思った。「最後にカバーをします」と言ったので「私の心」か「ぁまのじゃく」かと、身構えたのだけど、知らない曲だった。「あこがれ」というもので、誰の曲なのか聞くのを忘れてしまった。
前にキッドボックスさんで演奏したときは冷蔵庫のガガガガという音が気になって集中できなかったのですが、対処法を知り、というかただ電源を消しただけだったけど、それだけで全然違ったのでよかった。
「骨と燈」を演奏するにつれ、なんとなくの居心地の悪さのようなものが生まれてきており、それは以前までの歌い方や弾き方が通用しない感じで、うまく歌に入り込むことができない。歌の核を捉えたつもりで、知った顔をして近づいても「違います」という仕草をされるような、こういう「歌が離れていく」ような感じは今までもあった。趣味が変わったに過ぎないのだろうけれど、どういう意味なのだろうと考えてしまう。
演奏のあとは3人で反省会と、鎌倉小旅行のはなし。
1.千年 2.白い栄華 3.骨と燈 4.みなかみ 5.架空 6.火の輪くぐり 7.一億の夜
2018.08.22(水)「Coin歯dental Music」於 高円寺 円盤
《出演》
traditional speech(from大阪)
Sekiguchi Satoru
根岸卓平
ご来場いただきありがとうございました。
イベント名にちなんで歯にまつわる話をしてください、ということで、HaHaHaHaHa~というVerbalのラップでお馴染み「Ex-Boyfriend」を歌ってるCrystal Kayに、新宿二丁目で会った、デリシャスな金曜日にGirl’s Nightしてるクリちゃんに「あなたクリちゃんですか」と訊ねるのは、ちょっとhard to sayやなぁ、と思ったけど、勇気出して訊いたら「そうよ」と答えてくれたので、小学生の頃からのファンです、と伝えると「Thank you」とニッコリ笑ってくれて、その白い歯が眩しかった。という、話をしました。
演奏はというと、とても落ち着いてできたのでよかった。見にきてくださった方や、森田さんやセキグチさん、呼んでくださったBuffalomckeeさんの雰囲気もあったろうな。自分のような音楽は、緊張してナンボなんかなと今までは思っていたけれど、そうじゃないのかもしれない。力を抜いて自分以外の音に集中できた。新曲「火の輪くぐり」も感想を皆さん伝えてくださったので、嬉しかったな。
リハーサルの様子。森田さんが撮ってくださってました
歯を使ってパフォーマンスしてください、というテーマもあったのですが、全然思いつかなかったので「虫歯建設株式会社」のカバーをしました。フツーにギターでするのもつまんないかなと思い、久しぶりにシンセとタンテを持って行きました。せっかくなので森田さんにもトランペットで参加してもらって嬉しかった。ハードレインでプリンをドライヤーで乾かしたとき以来のセッションだった。
虫歯アンビエントと名付けたい
森田さんは歯の話も演奏も一緒くたになったようなパフォーマンスだった。リンゴをかじる音も演奏になるし、口からリンゴをこぼすのも表現だった。謎めいた音の中、窓の外の電灯で、森田さんには後光が射しているようだった。暴力的な雰囲気や渇きのような間もあり、だからTraditional Speechなんだろう。新CDR「sweet☆shasha」を買ったらリンゴを1つくれた。
セキグチさんはパソコンやカセットや機械や、いろいろなものを使ってパフォーマンスしていた。机に置いていたイヤホンをそのまま口で咥えたのを見て、私やったら絶対水で洗い流すかウェットティッシュで拭いてまうなと考えてたら、咥えたイヤホンとカセットデッキが連動して、口の動きで野蛮な音が出てビックリした。冷静な顔つきで、次から次に謎を提示していく。どんなことが起こるんだろうと固唾を呑む。
お客さんと森田さんと私の3人で、そのあと高円寺で飲んだ。入ったお店は、上京するたびに気になっていたお店だったので念願だった。
年齢も性別も違うお2人と飲むということは、自分が演奏してないと起こりえないことなので、こういう時が一番「音楽しててよかったなぁ」と思う瞬間かもしれない。
2人になっても、森田さんと終電になるまで飲んだ。別れ際、森田さんは銭湯に行くよと言っていた。
じぶん、サカナみたいな顔してるなぁ・・
1.千年 2.白い栄華 3.骨と燈 4.みなかみ 5.架空 6.火の輪くぐり 7.虫歯建設株式会社(カバー)
2018.08.14(火)於 大久保 ひかりのうま
《出演》
虚無虚無クラブ
ふゆふきうどん
根岸卓平
ご来場ありがとうございました。
今回共演する方々はずっと名前の気になっていた方々なので、ご一緒できてよかった。ふゆふきさんは最初、いまを生きる女の子の歌やなぁと思って聴いていたけれど、最後の2曲「女のロックンロール」と「私が自由で迷惑かけてるね」という歌(お母さんに向けて、なのだろうか)がほんとにすごかった。紛れもなくそれは「うた」だった。あとカニさんの「チンポのロックンロール」のひどさもわかってよかった。
虚無虚無さんは都合、3曲しか聴けなかったけれど、パンダやペンギンの歌があって可愛らしかった。トゥーマッチな感じが面白かったな。
わたしはと言うと、直近で弦が切れ交換したので、当日はチューニングの狂いばかり気にしてしまった。新曲「火の輪くぐり」も練習通りに音が鳴らなかった。後味が悪い。
ライブの後はうどんちゃんとたくさん話をした。わたしはその場で答えを要求されることが苦手だから、うどんちゃんを前にして、返答を出し惜しみするようなことしかできなかった。それにデモとか芝居とか観にいってるけど、AVや着エロで育った生き物なので、話の流れでうどんちゃんをおんぶしたとき、とても背徳的な気持ちになった。でも呼び捨てで呼んでくれてはってたし、気にし過ぎなのかもしれない。
観に来てくれてた清岡さんと2人で帰る。3ヶ月前と同じで、国立で下りて、バス停に座る。
鳳って、なんで一曲目なんですか。そう訊かれて、一曲目っぽいから、ですよ、と答えると、あの曲、一曲目にするには難しくないですか、と言われる。
並んでるコードがCとかEとか簡単なものだから、僕の技術が足りないだけだと思います、と言うと、いや、並んでるコード一つ一つは押さえやすいけれど、曲になると別ですよ。
新曲も、あんなメチャクチャなの、よくしますね、といわれて、練習ではもっと音が鳴るべくところで鳴ってたんです、というと、いや、そういうことじゃなくて、あんなに複雑な運指をよく思いついたなってことですよ。
あなたはあなたが思っている以上に、複雑な曲ばかり作ってるから、うまくいかなくても引きずりすぎるのは違いますよ。対策を取ればいいんだから。なんとなく身軽になる自分は、どこまでも単純だ。
いま一番好きなオジさんの画像などを見せていると、気づけば早朝5時になっていたので帰宅。それでもどんな時もパニックにならない、人前に立ってもいつも通りに弾ける、強い心が欲しいなぁとやっぱり思う。
「よすが」を作った頃はこの曲が好きだった。発売から一年経ってもずっと好きで、この曲のリミックスが欲しいがためにアルバムを買ったりした。編曲がハロプロでおなじみ平田祥一郎さんだと今更知って感動しました。
1.鳳 2.架空 3.白い栄華 4.みなかみ 5.骨と燈 6.千年 7.火の輪くぐり 8.よすが
2018.07.16 (月・祝) 「海のホリデー」 於 日ノ出町 試聴室その3
2018.07.16 (月・祝)
「海のホリデー」
於 日ノ出町 試聴室その3
《出演》
アルプス
磯田渉
根岸卓平
日ノ出町ってどんなところですかと清岡さんに訊いたら「絶対好きだから自分の目で見た方が早いですよ」と言われたのですが、意味がわかった。好きな感じでよかった。
街並みは新開地っぽさもあるし、地元と同じニオイもする。試聴室その3の近くには「北欧」と言う名のアダルトショップがあり、挑戦的やなと思ったし、示唆的でもあるなと思った。結構みんな床で寝てる。「ごっつい町ですね」とMCで話したら、アルプスさんも「ごっついですよね」と返してくれたのでよかった。
今日のイベントはブッキングのアンジュウさん曰く「西で攻め」とのことで、アルプスさんも磯田さんも、京都にゆかりがあって、でも兵庫にもそれぞれ縁はあり、嬉しかった。わたしの「ごっつい」という単語も今日だからこそ響いたのかもしれない。
磯田さんはバンドの曲をソロでされていて、不思議な間がいっぱいあって面白かった。ここに他の楽器が入るんかなと想像した。無骨だけどファニーに飛び交う声が好きだった。アルプスさんは穏やかな雰囲気で聴いていると、失恋したことを「私だけ勘違いしてたみたい」と歌っていてビックリした。ちょっとすごかった。
まえに宮永さんに「ロックとかするのってどんな気持ちなんですか」と訊いたら「鳴らす、みたいな感じっすよ」と言われて、じゃあ歌ってる自分は永遠にロックではないなと思った。
でも自分は歌ってるつもりでも「鳴らしてる」んかもしれへんなとも思い始めた。「意味はわからないけど言葉の響きがいいのを選んでる、ように聞こえる」と前に自分の音楽について言われたことがあって、それはつまり、自分は意味を伝えたいけれど、相手には響きが優先的に伝わってるんやなと思って、なんか面白かった。
それから自分も歌ってるんじゃなくて「鳴らしてる」んやと、そういう気持ちで挑んでいる。「うた」というより「音楽」として生きているような気がして、結構いい。
前日に誕生日を迎え三十路に突入したので、その記念に初心に帰ろうと、ハタチのときに初めて作った「よすが」を披露したのですが、最初の頃と全然曲が変わってるなぁと思った。もっと硬質なものをしていたし、当時はそう求めていた。
この曲を作ったのは大学に通うときに乗ってた、神戸市営地下鉄の、ニュータウンを見下ろす車窓で、「うたでも作りたいな」と思っていた矢先に詞があふれてすぐにスマホに書き留めた。5分もかからなかった。詞が目の前にあることで手一杯で、ほとんど修正しないままギターに乗せたのが恥ずかしくて、だからGossip Folksのブックレットでは歌詞を省いている。
アルプスさんや磯田さんと話せてよかった。アンジュウさんのお友だちともたくさん話した。「さざなみ」をみなさん手にとってくれて、その場で感想を伝えてくださったのも嬉しかった。
まえに汎芽舎の槇山さんと、ひとまえに立つんって健康のためみたいなとこありますよね、という話になったのだけど、やっぱそうやなと思った。いい海の日、いい三十路の始まりやった。
1.鳳 2.白い栄華 3.黄金の鳴る 4.骨と燈 5.架空 6.千年 7.よすが
【後期】2018.06.22(金)於 大久保 ひかりのうま
【出演】
コーラ
終古のオミット
關伊佐央
根岸卓平
ご来場ありがとうございました。
わたしはトップバッターなので、いつもより気楽にできました。全体的に隙間を見つめるような演奏ができてよかった。「鳳」「黄金の鳴る」の発声を変えたりもした。音量が小さかった、という声と、丁度よかった、という声があって、「いろんな耳があるんだなぁ」と改めて思いました。
コーラさんはイメージの連想が新しく、「コーラ」というカタカナ名義の名前にピッタリだった。終古のオミットさんは、サイケとアヴァンが混在していて面白かった。關さんは声もギターも、ジプシーのよう。でも海外のでなく、日本の、ひょっとするとネット空間をも漂う。
会場ではたくさんの方とお話しできてよかった。お久しぶりの方や、初めての方も。丁寧な感想もいただけて、ホッとした。あと「東京日記」の007の感想として、みんながなんとなしに見過ごしていることを言語化してるから、スッと入ってきました、という声があって、嬉しかった。「プールの話」を読んでくださってる方もいらっしゃって、励みになるなぁ。
帰りは關さんとたくさん話して帰った。關さんはアニュウさんと縁のある方だったからか、初めて会った気がしなかった。1月の七針のあと、佐藤玲さんと話して帰ったのも楽しかった。ライブの後は途端に心もとない気持ちになるから、もっともっと、たくさんの人と話して帰れたらいいな。
チューニングするときはいつも、頭の中のブラマヨの小杉さんが「早よせな場ぁもたへんでヘイヘイオーラーイ」とヤジを飛ばす
1.鳳 2.白い栄華 3.黄金の鳴る 4.架空 5.骨と燈 6.千年 7.一億の夜
【後期】2018.05.22(火)於 大久保 ひかりのうま
【出演】
後藤真一郎
ババカヲルコ
夜久一
根岸卓平
ご来場ありがとうございました。
「ひかりのうま」さんは、関西にいるときからお名前をよく耳にしていて、どんなとこなんやろうと思っていたけれど、すごくいいところだった。お店の雰囲気もわたし好みで、お店の方々もとても柔らかだった。
後藤さんはギターがとても上手で、いい声だった。わたしより年下と聞いて、少し驚く。ババさんの声、とても可愛かった。ピアノが弾けるっていいなぁ。夜久さんは、子供と老いた人たちの、あいだにいるような声だった、それは少年でも青年でも中年でもなく、そういう、”楽器”だった。目まぐるしくも、間を大切にするギターもカッコよかった。
私は声に引っ張られるような、演奏がしたいなと思っていた。今まで、ギターが不得手なじぶんが、とてもニガテで、ギターにばかり集中してしまって、するとまるで歌っているのが楽しくないと気づき、どうせうまく弾けないのなら少し開き直ってみようと思いました。人それぞれだと思うけれど、わたしはギターより断然、声の方が直感的にわたしの心情を汲み取ってくれるし、信じるに足る素直さもあると思う。
ババさんが、神戸ってネギシさんみたいな人がいっぱいいるんですか、と言ってくれて面白かった。思ってもない質問だったので、じぶんも「いえ全然!荒野です!」とよくわからない返答をしてしまった。
観てくださった方々とたくさんお話しできたのもよかった。お店の自家製ツナが美味しくて、お酒もいくつか煽ってしまった。
ひかりのうまさんを出て、清岡さんと新宿で飲み直す。中央線の終電に乗って、2人して国立で下りる。駅前のバス停に座って、コーヒーを飲む。
「あなたの音楽って、コアな政治性がありますよね」。初めそう言われたときに、よく意味がわからなくて、政治性というのが、わたしにとって曖昧かもしれません、と真意を訊ねると、清岡さん曰く、人間の思いや考えは、何も言葉にできるものだけでなく、仕草や所作に出るもので、それはもちろん、政治にまつわる態度や意見の表明方法につながるものだという話だった。だから、その考えで行くと、無音を信じて演奏に還しているわたしは、”コアな政治性”を持っている、という話だった。
東京に来てから、曲を10曲くらい作っては全部捨てていて、それはせっかく東京に来たんだし、いつもとは違う曲を作ろうと思って作ったもので、そういったものの中に、社会的なステイトメントを”わかりやすく”織り込んだような、歌を作ったりもしていた。
わたしはSigur RosとAntony&the Johnsons~Anohniが好きで、どちらも愛おしい音楽で、Sigur Rosの方は、ヨンシーがゲイであると公言している以外、音楽に関して彼のセクシャリティが表出するようなことはまるでない。それは彼が造語で歌っているという点でも明らかで、一方アントニーの方は、割とセクシャリティと歌は切り離せないもので、最近はことに政治的なアティチュードの色も強いようにも思う。それがいいとか悪いではなくて、でもわたしは、ヨンシーの音楽のスタンスに惹かれる。匂い立つ”政治性”がSigur Rosにはあると、ずっと信じている。あればいいというわけではないけれど、思い返した時にふと、あると信じれるような。だけど雑誌を見ると、シガーロスよりも断然アントニーの方が、たくさん”語られている”。当然といえば当然だけれども、釈然としない感もあり、試しに作ってみよう、と相成った。
とはいえ、途中で飽きていく自分にも気付いた。作れば作るほど、つまらなくて、直接的な表現をわたしがすると、どうしても嘘っぽく聞こえるし、何より、“言外の意味”を信じたいのだとも気づく。
わたしは、言葉の持つイメージが別のイメージに反応して、また新たなイメージを呼応び、さらなるイメージを作るようなものが好きだし、それは音とか目に見えるものとか、その時に触れるものや舌の感じ、匂い、全てがより重要なものとして捉えられるように思う。それは今まで表現し得ていたものではない、違うイメージやメッセージを産むものだと思うし、単にワクワクする。
無音の持つ情報量を信じているのもそうで、無はあらゆる音と響き合っている。清岡さんはそれを「死者に向けて演奏する感じ」と自身の演奏について言っていた。
311の震災怪談を読み漁っていた頃、「怪談とは、死者と生者が出逢う場所」という表現を知り、言い得て妙だなと思った。わたしは清岡さんみたいに、死者に対し直接歌っているのではないけれど、ひとの心の中にある亡くなった感情や、ないものとされている記憶とか、そういったものに歌えたらいいなと、思っている。それはわたしの”政治性”のひとつと言える。
そう言ったことが清岡さんには伝わっているんだと思うと、嬉しかった。お互いやっている音楽は違うけれど、シンパシーを覚えるのは、そういうことなのかもしれない。
スマホの隠しフォルダにある「秘蔵の塩顔ガリガリおじさん(身長低め)コレクション」を見せたりして、「本当にどうでもいいです」と言われたりしていると、気づけば3時半になっていた。清岡さんとバイバイして、迎え酒に缶ビールを一本買って飲んで帰る。
家の前に立つと、家主のおばあちゃん家の鳩時計が、4時を告げていた。
1.鳳 2.白い栄華 3.黄金の鳴る 4.架空 5.骨と燈 6.千年 7.一億の夜
【後期】2018.05.13(日)「亀有三人会」於 亀有 KID BOX
【出演】
アニュウリズム
宮永遼平
根岸卓平
アニュウさんと宮永さんとの、3人会でした。
当日は「火の輪くぐり」という私の歌を宮永さんにエレキで手伝っていただくという算段で、亀有へ。宮永さんと合流。スタジオが空いておらず、カラオケにいくも、軒並み満員であり、困っていたところ、とあるカラオケ店についた途端、つんく♂さんの声が有線から聞こえ、「ここやな」と2人で顔を合わせる。
実際、空いており、ここでもつんく♂さんからの恩恵を授かったような気持ちになる。ほんと感謝しかない。人生のあらゆる局面だけでなく、ときにわたしたちを導いてくれるつんく♂さん。せっかくやし、ということで宮永さんが「オシャレ!」を、わたしは「色っぽい じれったい」を歌う。
わたしは合奏が初挑戦で、正直前週に行った初回の練習は、生きている心地がしなくて、でもなんとか追い付けるような気持ちに当日はなっている。宮永さんの、ギャインビュギィン、といった、アヴァンギャルドな音がかっこいい。
「火の輪くぐり」という歌は、さきの11月の、七色ラブレターズさんの、「人前で披露したことがない曲を披露しよう」と銘打たれたイベントで、初めて披露した。その際、ひとりでするのがすごく不安になった曲だったので、これまでのセットリストから外していた。誰かのギターがあればいいなと思っていたときに、今回の共演のはなしがあったので、宮永さんにお願いしました。
七色さんのイベントは、引っ越しが祟り、後期を書けなかったけれど、すごく大きな日で、共演のみなさん、なにより七色さんとダイナシーさんご夫婦の温かさと、キッチュな愛らしさを、わたしはビザールなギターケースの、どこかに詰めて、東京に持ってきたということを余談として、ここに追記する。
歌ったり弾き語ったりしていると、アッと言う間に二時間が経つ。宮永さんがのど飴を落として、店を出て、雨が降っていて、よくわからないけれど、亀有やなと思った。アニュウさんはもう、会場にいた。
リハーサルのあと、3人で、銀だこでたこ焼きを食べる。アニュウさんのことを日能研のリュックが似合うひとやなとかねがね思っていたけれど、当日塾のはなしを自らし始めてくれたので、よかった。
本番はアニュウさんから演奏がスタートして、気づいたことがあって、というのがギターをキッドボックスさんから借りてたからというのもあるのかもやけど、アニュウさんのギターは時々、「吃る」瞬間があって、それはUKトラッドの「吃りかた」やなと思った。早さも固さも、わたしの好きなそれだった。
「私の心」はほんまにすごく、共演するたびに披露してくださるから、うれしい。
宮永さんは新曲がすごく、どうしてこんな、と思う。「夜を結んで/捨てる」って、書けない。捨てるんか…。すこし考える。まえの夏の宅録のデモに入ってた2曲も、よかった。擬音と硬質な言葉と、流麗なギターの関係に憧れる。
最後がわたしで、もっといろんなところで演奏したいなぁと思った。やっぱり人前に立つのは、うれしい。
最後の最後で、「火の輪くぐり」を宮永さんと合奏した。緊張したけれど、失敗も山ほどあったけれど、楽しかった。
演奏が終わり、キッドボックスさんを後にしても、まだ飲める時間やなというはなしになり、白木屋にいく。せっかくやし、もっと3人で何かできたらいいな、という話になる。それが何なのかはわからないけれど、ひとりでいることに、もう飽きてしまっている。
ハイボールを買って、飲んで帰る。