Negishi Takuhei

根岸卓平の演奏日程と、その後記

2017.09.27(水) "voice or voice" 於 北浜 雲州堂

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【出演】
浜谷俊輔
松本英二郎
森田雅章
多門伸
詰沢脇市
根岸卓平

ご来場ありがとうございました。

無伴奏の日。ということで、まっさきに思い付いたのが鬼束ちひろ「Brighten Us」でした。原曲もアカペラで、加えて英詞なので、鬼束さんのイメージを裏切って面白いかなと思い、披露しました。リハのときめちゃくちゃピッチをはずしてものすごく恥ずかしかったのですが、本番ではまぁまぁ。鬼束さんっぽい手つきもしてたんやけど、あんま気づいてもらえてへんかったんかな。

続いて自作の詩「蜜柑」を詠みました。現代詩手帖に載ったものですが、もともとは歌だった、だけどメロディが邪魔だなと思い、のこった詞だけを見つめて、「これは『うた』でなく『詩』なんだ」と気づいた、という話をしました。間がうまくとれたな、と自負してます。

さいごはエロビデオ漫談をしました。題して「DMM.comのレビュー欄にいる詩人たちを紹介」というコーナーで、その名の通りです。癖のある、ねちっこいレビューをしてるレビュアーたちを詩人と呼び、その詩的表現を紹介していきました。お客さんも出演者も年上のひとらばっかやのに、頑張ったなぁとじぶんでも思います。女のひとのほうが歓んではってる印象やって嬉しかったな。言い終わるのと同時に15分に設定したタイマーがピピピッと鳴ったのもよかった。練習した甲斐があった。

カニさんがまえにブログで「くだらないことをやってたのにみんなやめてった」ということを言ってはった。じぶんも、たとえば架空のラジオ番組にしろ、ウンゲロ演劇にしろ、すこししんどいなぁと思っていた。突き詰めると自己満足やので、当然メリットみたいなのがないというか、むなしさみたいなのがすごく、あまつさえ「うたのイメージと違うからやめれば」みたいなことを言われたりもして、ようわからんなと思った。それぞれが混同するのもイヤなので、名義を変えたりして棲み分けて披露してるのに、そういわれると、「ぜんぶ捨てる」という手段をとるしかなかった。

だからこそ、カニさんのその言葉がずっと残っていた。じぶんのこのエロビデオ漫談も、ほんま、誰のためにもならへん、くだらないことやのに、やっぱり一生懸命、鏡のまえにたって練習してるじぶんがおったりして、じぶんでもよくわからなくなるんですけど、そんなじぶんは結構すきです。

最後に「蛍の光」を無伴奏で合唱しようというとき、急にものすごく、それはニガテなことやなと気づいてしまって、隅で手を叩くことしかできなかった。森田さんに歌うように案内されたけど、すごくこう、みんなでうたう、というのが、あー、ニガテなんやなと思った。それは森田さんやイベントが悪いとか、そういうことでは絶対なくて、急にそういう「みんなと一体化するじぶん」を受け入れられなくなる瞬間みたいな感じで、隅で半笑いするしかなくて、あ、このシーン、カニさんのブログで見たなと思った。くしくも雲州堂でしたね。

カニさんが活動したてのころ、カニコーセン軍団って呼んでもろたりして、嬉しかった。いまはみんな音楽やめてしまったけど、ぼくは東京にいってしまうし、でも「じぶんはカニコーセン軍団なんやな」と、なんとなく思った。

イベントのあと、森田さん、詰沢さんと奥さん、お客さんで来てたみのさん、みんなで安い居酒屋で飲んではなしたのも、たのしかった。森田さんと二人のりしたのも、このタイミングでできてよかった。天神橋筋の商店街ってのも、よかったな。

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2017.09.08(金) "a golden pond" 於 神保町 視聴室

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【出演】
清岡秀哉
MARK
根岸卓平

ご来場ありかとうございました。

今回は清岡さんと演奏会をしよう、というはなしから始まり、ツーマンはまえもしたから、スリーマンとかいいかも、というはなしになり、わたしがMARKさんのファンということを覚えててくださってて、つなげてもらって、実現しました。

"a golden pond"というイベント名は直訳すると「黄金の沼」です。これは私が考えました。

3人ともじぶんにしかできない音楽を追及している。追及や没頭は、沼にハマっているようなものだ。その姿は異形であり、だからこそ、心をかき乱す。存在そのものが沼のよう。魅力的で、蠱惑的な、黄金の沼。そして沼は、やわらかい。そのやわらかさに、あなたは足を抜け出せないでいるけれど、そんなあなたも、だれかにとっての「黄金の沼」なのだろう。

清岡さんは以前よりもさらに音の色気が増していた。それはきっと男の色気であって、その色気に包まれるのは、さみしくて、気持ちいい。markさんのライブを観るのは初めてだった。ずっと音源ばかり聴いていたけれど、ライブの迫力は、生きていることの謳歌、だからこそだった。わたし幸せ、ということだけでなく、悲しみや妬みも存分に含まれてる音楽なのだけど、それこそ生命の賛歌だ。ピアノでうたった数曲がほんとによかった、うつくしかった。「つよくてあたたかいストレンジ」、あんなにいい歌だったんだなぁ。

自分はというと、ゆっくり船をこぎだして、うまく潮流にのれていないような感じだった。力んで演奏しすぎてしまった。どんな状況でも、左右されずに演奏するというのが、今後の課題。清岡さんと、じぶん用の機材とか、そういうのが必要な時期なのかもしれないね、というはなしをした、

地元の友だちが観に来てくれて、うれしかった。みんなが普段聴いているものとは全然違うだろうし、それどころか音楽を聴く習慣もなかったりするのだろう、それでも、じぶんが演奏をしていることの原点は、こんなん創ってんけど、どう思う?と子供のころに一方的に押し付けた落書きとか、物語りだったり、ぐるぐるカーテンして、こんなことあってんけど、と話したことだったりで、その延長線上にあることだから、観に来てくれるとやっぱりうれしい。ずっと押し付けてばっかの人生だなぁ、

≪曲目≫
1.鳳 2.実を吸うて 3.架空 4.骨と燈 5.煌悼 6.千年 7.一億の夜

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2017.08.29(火) 「はしならべ」 於 梅田 ハードレイン

【出演】
へぶんりいでいず
リュウ
ルイ・リロイ
APARTMENT
池藤雅哉
根岸卓平

ご来場ありがとうございました。

いろいろな方々が出演されてて、たのしかったです。さわやかな、へぶんりいでいずさん。バンドで聴くとまたちがう風に聞こえそうだなと思ったりしてワクワクしました。リュウジさんは、いまを生きる男の子のうただなと思ったり。ルイさんは二曲目にした即興演奏がとてもよかった!いつみてもあたらしい音楽をつくる方やので、ほんまかっこいいなと思います。APARMENTさんは外国のポップスのようで、ビックリしました。池藤さんは、へぶんりいでいずさんとはまた違うさわやかな「うた」で、年齢をかさねると歌の内容が変わるような音楽だなと思いました。

じぶんはというと、ギターをメンテナンスに出しているので、まえのギターで演奏しました。いまのギターの音に慣れているのもあるのだろうけれど、どうしても音の「のび」の悪さが気になるな…と思っていた、それでもPAさんが、「音がわるい」というわけじゃないから、いつも通りで大丈夫だよといってくれて、気持がラクになりました。とはいえ、いまの曲目に飽きてしまっているじぶんにも気づいたりして、なかなか演奏の軌道に乗れないまま30分が終わってしまった感もあり。「煌悼」のアレンジも、結局ふり出しに戻ってしまった。考え込んでばっかりだ、

やっぱり人前に出ると、ひとに会いに行くということにもつながるので、この活動を大事にしたいなと思った。みんなでルイさんの怪談話もたのしめてよかったな(ほんとに怖かった)。

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じぶんにとってのcapsuleはこのころのcapsuleを指す。20代最後の夏も終わってしまうのよ。

2017.06.08(木)『赤い睫毛』於 梅田ハードレイン

【出演】
杉野明日香
つるんづマリー
ルイ・リロイ
アニュウリズム
Nonsugar
根岸卓平

ご来場ありがとうございました。

ながく自分のことを観てくださっている方々が来られていて、「すごいところまで来てますね」と言われたりもして、つづけるって大事だなと思いました。「やっぱり、声と詩ですね」とか(もちろん、「すべてをぶち壊すMC」という感想もありがたく頂戴しました)。

かねてから自分は「耳が悪い」と言われていて、それは耳の機能のはなしではなく、「もっと耳を澄ませて演奏に取り組みなさい」といった意味のことで、声やギター、マイクの位置、リバーブや場所による響きかたなど見直しては、演奏に取り組んでいるのですが、今回PAの方とあらためてやり取りして、解決していったので、自信をもって演奏できました。わからないことはどんどん訊いていったほうがお互いのためだし、結局シンプルなのがいいよね、という結論、

ほかの出演者の方々も、とてもおもしろかった。アニュウ/つるんづ両兄さんに現代詩手帖に詩が載ったことにMCで触れていただいて、「兄さん!」となりました。ハードレインは出演される方もお客さんも、話しやすい方がおおく、その場でかるい打ち上げができるので、いいところですね。

帰りみち、ルイさんに駅まで送ってもらって、考えていることを打ち明けたりした。ひとりで家にいると、ふと、この先ものすごく狭い道を歩むしかないように思えてくるのだけど、はなすと、のり越えたあとのじぶんは、どんなんかな、とひとつ楽しみが増えるので、フシギだなと思った。話すは、放す。つづけるは美術、

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              写真は蒐集家の市田響さん

≪曲目≫
1.鳳 2.架空 3.骨と燈 4.千年 5.煌悼 6.一億の夜

2017.05.27(土)「hangesha bar」於 元町 汎芽舎

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【出演】
Jap Kasai
Moloder
根岸卓平

DJ Makiyama

ご来場ありがとうございました。はじめての方、いつもの方、おひさしぶりの方、いろいろな方々が、土曜の夜、しかも遅い時間に集まってくださって、ありがたかったです。

「煌悼」を初めて披露しました。初披露、というのは、当たり前ですが、披露するまでは自分しかその曲のことを知らないわけですから、これって聴いてるひと、どう思うのかなぁ、なんて、ソワソワするのですが、加えて、今回は、自分なりにあたらしいことに挑戦していて、それがきちんと達成できるのかが気がかりでした。

あたらしいこと、というのは、例えば、わたしには珍しくストロークをしたり、メロディっぽい?のを弾くというようなことで、不慣れなのも手伝って、練習の段階ではうまく実現できず。リハーサルのとき、やっとこさ「あぁ、こういうことか」とわかったという感じでした。じっくり詰めていきたい。

「千年」。ずっと歌っている曲なのですが、発声のアレンジを変えました。ウーとかアーとかをより、いまの自分っぽく。この発声は結構、自分の武器だと思う。

MolderさんもJap Kasaiさんもエレクトロニックな音楽をされるかたで、ヘンないい方ですが、うれしかった。自分はどうも、「うた」然としたイベントよりも、機械をつかったものや即興とか、そういったものに囲まれた演奏のほうが、しっくりくるし、実際にたのしい。そういったタイプの音楽が好きだから、というのもあるけれど。

Molderさんは映像的な音楽をされていて、Molderさんと一緒に山をのぼっているような感じもあり(山登りが趣味だそう)、アトラクションのようだった。Jap Kasaiさんはいびつなダンスミュージックのよう。独特、でなくて、カタカナで「ユニーク」だった。お二方とも気さくで、はなしていても楽しかったし、またご一緒したいな。

Jap Kasaiさんは電車の都合で参加できなかったけれど、お客さんで来られてたbonnounomukuroさんと、槇山さん、Molderさんの四人で打ち上げで、中華料理を食べた。くだらないことや、仕事や家族のこと(この2つは、音楽をするひとにとって、かなり重要なファクターだと思う)も話した。ひとりで活動していると、自分の内側ばかり見てしまいがちだけど、ひとりで100日いるよりも、ふたり以上で、数時間はなしただけでクリアになることは山ほどあるように思う。

帰りしな、bonnouさんのクルマで送ってもらった。土曜のふかい夜の、人の去ったあとの、しずかな町。しずかな時間。音はかたくて、やわらかい。はなしては、とぎれ。慕うひとたち。10年前の自分に、いつか、こういう時間がお前にも来るよと教えたくなった。

≪曲目≫
1.鳳 2.実を吸うて 3.架空 4.骨と燈 5.煌悼 6.千年 7.一億の夜 En.千年

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2017.04.05(水)「ノーチャージデイ」 於 京都 ネガポジ

【出演】

埜口トシヒロ(本日休演)
山羊の薬
靴底小石
根岸卓平

マイクの位置が定まらなくてソワソワしつつ、ゆっくり船をこぎだしていきました。まわりの音に反応しながら音を出してますよね、と言われ、気づいてもらえて、うれしかった。完全な無音よりも、マドラーの音がカラカラ鳴ってたりするほうが、燃えます。

靴底小石さんは女性の方の鼻にかかった声がよかった。山羊の薬さんは、「いま」を生きる女の子の暗がりをうたっていた。埜口さんは唇と指がすごくきれいで、見とれてました(ごめんなさいね変態で)。80s-90sの都会的な?バラードで使われる音しょくの曲(つまり露崎春女傳田真央テイストの・・)がすごくいい曲だった。

MCでネガティブなことを話したな・・と思い、終演のあと後悔していたところ、いや別にそんなことはないんじゃない、と言われ、え、そうなの、と拍子抜けになるも、逆にネガティブってどういう意味なのかとさらに自分がわからなくなってしまいました。ちゃんちゃん。

≪曲目≫
1.鳳 2.実を吸うて 3.架空 4.骨と燈 5.千年 6.四肢の芳醇 7.一億の夜

www.youtube.com

2017.03.16(木) 「はしならべ」 於 梅田ハードレイン

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【出演】

小池喬(シラオカ)
悲しみかもめ
the hula hoops
内田修
根岸卓平

一番手はラクな気持ちでできるので結構好きです。相変わらずミスタッチが多かったのは悔しかったですが、間の取りかたはなかなかうまくいったんじゃないかな。「架空」のグルーヴが自分でやってても心地よかったです。しずかに巨大なイモムシが這って、洞窟を出ていく感じをイメージしたんですが、どうですかね。

フラフープスさんは何かを始めようというワクワクにあふれていて、悲しみかもめさんは郊外に住む男の人の夢がつまっていた(そういえば和歌山の方でしたね!)。小池さんはファニーで、イラストの世界の地続きだった。内田さんは声がやわらかくて心地よかった。皆さんギターが上手だな・・と思って見とれていました。

やっとこさレコ発のライブ盤が完成しまして、販売を開始しました。自分のライブの雰囲気はもちろんですが、「こういうことをしたいんだな」「『善』と思ってるんだな」と、ふかく自分の「うた」を知るキッカケになると思います。装丁も毎度のことながら清岡さんに好くしていただいてますし、毎度のことながら音源の調整をモツさんに協力していただいてます。本当に感謝しきりです。。!

ライブ会場や通販はもちろんですが、近々ネットショップを開設しようと思いますので、ゼヒゼヒご利用ください(^-^) なにとぞよろしくお願いします!

≪曲目≫
1.鳳 2.実を吸うて 3.架空 4.骨と燈 5.千年 6.四肢の芳醇