Negishi Takuhei

根岸卓平の演奏日程と、その後記

2016.10.5(水) 於 難波 ベアーズ

【出演】
尾崎伸行+藤田亮

スパッツカリマール
カズマントンボ(人形劇)
根岸卓平

好き勝手します、と書いたのは、この2週間ほど、ヘラバでの一件があって以来、自信をなくしてしまったことに由来する。

告知のたびに演奏の内容を書いていたのは、ただ告知するだけより、どんなことをするか、知ってもらったほうが、引っかかりになるかもやし、単純に、言ってもうたらあとには退けんし、と思い、書いていたのですが、この精神状態では、何をやってもうまくいかない、

この2週間は演奏することを考えるのがイヤで、レコ発のことも気に揉んでしまう。加えて、レコ発では新しい歌を披露したいなと思っていて、しかしそれも、考えれば考えるほど、自分のいいと思えるものでなくなってくる、

せっかくごっついCDを作ったのだから、やっぱり広く聞いて欲しいし、やっぱごっついな、とできる限り、多くのひとに、思ってほしい。だから名前のある、自分と通じるような方々とご一緒したいと考えてのメンツですし、

やけど広く聴かれるっちゅうのはなにかしらねぇ。自分は、この件に関しては、音楽の性質を変えるというのではなく、やり方次第やなと、思っている、やっぱり信じているものしかしたくないし、残したくない、

でもくだんの「とき」も、ひとから言わせると、みんなついていけへんのとちゃうかとか、もっと肩の力抜いたらとか、茨の道やな、ということらしく、もっともやなと思うことでもあるし、ほんまそうなやなと思うねんけど、そう思いながら、おいコラもっぺん言ってみい、と、なるのも事実で、正直、なんでわかってくれへんねやぁ、と泣き崩れている自分と、なんでやぁ、と刃物を振り回している自分がいます。

自分はあまり音楽という感覚で演奏はしてなくて、美術をしているんだ、という気持ちでいる。どちらかというと、音楽より美術のほうが好きやし、例えば絵なんて、わけわからんけど、すげー、の感覚こそ重要やと思うし、その、すげー、の持つ魅力を還元して作曲しているのだから。でもそういうことが伝わっているように思えない。このままでは、どれだけのひとを巻き込んでも、ただの独りよがりではないか、そんな趣味の悪いはなし、あるのかよと。

みんなそんなに都市とかインターネットとか、暮らしとか、楽しいな悲しいなでしか、音楽聴いてないのかしらね。そこに違和感を感じていて、私は、音楽にだけでなく、何にしても、そういうことは求めていない。ただ、「受け取る」という行為の作用に関しては、人それぞれのはなしで、どう思おうと、善いとか悪いとかではない、というのがキモであり、ややこしく考えてしまう原因なのだろう、

そういう次第なので、自分のできること、というのは、やりたいことをやるしかないということに尽きるし、だから、黙々とやらねばなと思うのですが、なんせ、そう思うと、変に気張って、しんどくなってきて、いろんなことが手につかなくなってしまった。むかしから、黙々とできない。結局、こんな風にでも文章でまとめないと、うまく自分の思考を循環させることができない自分というのも、イヤやなぁと思うしで、自分の活動に対し、言葉で補おうとしているところも、卑怯やなぁと思うしで、もうそうなると、いよいよ八方塞がりですから、一旦もう考えるのを止めにして、したいようにしよう、と相成ったわけです。

結果としては、音響のトラブルがあり、「聴かせる」ことに支障はあったし、それでさらに、演奏中は、負のループに入ってしまった。

それでもなんとなしの、「回復」を感じたのも事実だった。なるようにしかならないと、理由なく、信じれる気がしたのだった。本当に理由がない。自分は感情にものすごく左右されるので、そのブレをなるたけ減らして、毎回最善のものを見せるしかない。なんて、当たり前のことを反芻することはできました。

カズマントンボさんとスパッツカリマールさんとご一緒だったことも、よかったのかもしれない。おふたりの話し方や気の使い方に、いいなぁ、と思っていた。カズマンさんスパッツさんと3人で、いっぱいいっぱいでしたね〜、なんて笑って、楽しかった。黒瀬さんやおはまにもレコ発の話を聞いてもらったりして、安心もした。思ってたよりも自分はこの2週間、疲れていたみたいで、疲れてんちゃうん、と指摘されて、なんとなくわかって、昨日の今日やのんで、今日はもう寝ようと思います。

ベアーズの100円レコードの棚で嶋野百恵のリミックス集のアナログ盤をゲットした。ジャケットもすごくいい。いま聴いてもオトナだなと思う。(画像はネットで拾ったものです)

2016.09.25(日) 於 神戸 ヘラバラウンジ

【出演】

虻蜂とらず
ぐうたら狂
鈴木想
根岸卓平

自分の演奏活動で五本の指にはいるほど、ひどい演奏だった。圧倒的に空回りしている自分がいて、フワフワしていた。活動は、信じているものを見せつける、ということだと思うのですが、その信じるという行為そのものも、業務的にこなそうとしている自分に気づき、寒気がした。それは驕り高ぶっている、ということに尽きるのですが。自意識が一番醜い。

早よ帰りたいわもうおったらおるだけ毎秒先祖の顔に泥塗るようなもんやわと、部屋の隅で文字通り手持無沙汰にしていると、オーナーの木村さんがやって来てくれはって、今日どうやったん、と声をかけてくれ、いろいろ話を聞いてくださった。正直、ヘラバのひとたちは自分のことを好いてないと思っていたし、まともに見てくれてないと、演奏の都度、思っていたのですが、それは演奏の反応があまり芳しくないからなのですが、だからものすごく他人やと思っていたのですが、だから自分も他人行儀に対することしかできなかったので、話しかけられたときも、ものすごく身構えてしまったのですが、ずっと観てくれてたということ、それから、信念を貫くのはタイヘンやけど、君はそれするしかないと思ってるんやろし、どうせそうせな、落ち着かんのやろから、もっと突き詰めなアカンのとちゃうか、という話をしてくれはって、あぁ、そうやなと思った。くすんだ室内、妙に鮮やかなステージ、匂うタバコの煙を通して、一気にこれまでヘラバに出演してきたひとの、心臓の音が重なって聞こえた。

それは、わたしはされたことはないのですが、ライブハウス特有の「説教」とか、よくされるのですが、「業務的な感想」とか、そういうのではなく、アドバイス、の一言に尽きなかった。初めて面と向かって、話したのですが、ほどけていく思いがあり、たぶんそれは、学生時代、演奏なんてまったくしていなかったときのはなし、毎週のようにヘラバに行き、かっこいいものを見て、単純に楽しかった、その思いが澱となっていたからだと思うのですが、それを原動として、わー、っと話した。聞いてくれたし、話してくれた。大学の先輩の想さんや、ずっとずっと居てはる、Feedback Daughterの方、それから、あこがれのsquimaotoのakemiさんとお話しすることができて、ハタチ前後の鬱屈とした気持ちを転回するような、それでも心地よいものを感じた。

こんな文章を書いておきながら言うのもなんですが、自分はものすごくネガティブ、とはいえ、最終的に、でもせなアカンし、生きるしかないわな、という考えにたどり着くし、翌日は、仕事もロクに手につかなくて、でも先輩が話を聞いてくれて、優しかった、甘えてる自分ってほんまイヤやなと思いつつ、家帰って寝て、起きて、何もしないで、寝て、起きて、何もしないで、寝て、というのを繰り返して朝を迎えると、やっぱゲンキになるもので、前を向いてるし、やっぱヤッタルチャンになるんやで、と思った。今回のことも、失敗から見えてくるものがある、みたいな、ありきたりな台詞が一番ふさわしく、ほんまにそうやなぁと思った。大げさにいうと、挫折なんやろし、こういうことを学生時代してこなかったので、そういうのを今さら体験できている、というのは、ええことなんかもなぁとも思った。これはいまブログで「地元」について書いていることにも、なんとなくつながってる気がする。

歌の上手なひとが楽しそうに、自分の歌を歌っているのは、やっぱりいいですね。

www.youtube.com

2016.09.04(日) 「三浦カヨ×玉置寛明×根岸卓平」 於 元町 喫茶ポエム

【出演】

三浦カヨ
玉置寛明
根岸卓平

9/4(日)は元町 喫茶ポエムで三浦カヨさん、玉置寛明さん、そして、わたしの3人会でした。

玉置さん。わたしの無茶ぶりに応えて頂いて、夏なのに、トニー谷のサンタクロースの曲をしてくださいました。前にこの曲をされているのを見て、ずっと、またみたいなと思っていたのです。玉置さんが人前に立つとみんなが「見守る」姿勢になるので、言い換えれば、誰にでも愛されるひとなんだなぁと思いました。

カヨさん。カヨさんの声や佇まいが好きで、秋の入り口にポエムで見れたらいいなと思っていました。うみうしこんなの、深海節、などのオリジナルの曲が、やっぱり善い。ご本人も、やりがいがあるとおっしゃってたのが印象的でした。カヨさんの視点と、音の合わせ方、発声の間は、すごいなと思います。来ていただいた方に「カヨさんは、リフが多くて、ロックだなと思った」と言われて、言い得て妙だなと思いました。

わたし。これまでの自分を三つのパターンに区切って、それぞれを提示する形で演奏しました。「Gossip Folks」、「Gossip Folks」以降、それからこの日から発売する「とき」という具合に。この数回の演奏では、一曲一曲を区切って演奏する、ということを強く意識していました。どれが曲の終わりか分からない、と言われたのもあるのですが、曲ひとつひとつのなかの「高揚」を意識したいなと思ったからです。一曲のなかで高揚しても、次の曲が始まるときは、静かに始まり、飛翔し、終わり、次の曲を静かに始める。そのほうが、曲の意図が伝わるのかな、なんて思っています。この日は、その課題の、ひとつの結果を出せたと思います。

帰り際、「6弦を弾かないのはなぜか」と問われ、「6弦を弾くとつまんないから」「興味がない」「弾くべきものと考えてない」と答えたら「え…」「ルート音やから、そんなんいうひと初めて見た」と言われて、驚きました。「やっぱヘンタイなんやな」と言われて笑いました。

写真を3人で撮るのを忘れたので…Twitterから拾ったものでご勘弁ください。なんとなく畏まってる自分。たぶん広瀬香美の話をしている。

2016.09.01(木) 「平日ノーチャージデイ」 於 京都 ネガポジ

【出演】
Mr.69
橋村恭平
桃鉄
根岸卓平

前回のベアーズ同様、Gossip Folksの楽曲と「骨と燈」のみ披露しました。共演の方々と種類が異なれば異なるほど、のびのびと演奏できるタイプなので、いいものをお見せできたと思います。「骨と燈」もようやっと、板についてきたかなと。(写真はネガポジの方が撮ってくれたものです)

「骨と燈」はこんな曲
http://uncowakige.exblog.jp/25787370

2016.08.25(木) 於 難波ベアーズ

【出演】
恩地尚弥(東京)
黒岩あすか
二十人
根岸卓平

難波ベアーズで演奏しました。ご来場のみなさま、ありがとうございました!

あたらしいギターで初めての演奏でした。ええ音やん、と誉めてもらえてよかったです。演奏の感想として、自分の所作について述べて頂いて、そういう部分に触れてもらえると、とてもうれしい。

2016.07.17(日) 於 中書島 喫茶BAR MICA

【出演】
裸甲冑(ヤマグチタカノブ+三木英男)
山海ヒデヒロ+たまご
根岸卓平

先の日曜は中書島 喫茶BAR MICAで演奏でした。

「骨と燈」を初めて披露しました。ここ数回「自分の楽曲を伝える」ということを意図してパフォーマンスするのですが、どうも「談り」がベラベラととりとめもなく話してしまいました。。

「骨と燈」on soundcloud
https://soundcloud.com/takuhei-negishi/hone-to-tou
「骨と燈」についての文
http://uncowakige.exblog.jp/25787370/

一曲目に「架空」という歌を披露したのですが、いよいよ自分にしかできないグルーヴの真骨頂という感じになってきました。これもいま見てほしい楽曲のひとつです。

「架空」on youtube
https://www.youtube.com/watch?v=oDNJHdmJXFM

裸甲冑さんも、山海さんのデュオも、実直だった。歌の内容、というよりも、演奏の仕方というか。ヤマグチさんはお子さんについて歌い、山海さんは死を認め、歌った。

ご来場の皆さま、共演の皆さま、ありがとうございました

 

 

2016.05.05(木・祝) 「宮永遼平×根岸卓平」於 元町 喫茶ポエム

【出演】

宮永遼平(埼玉)

根岸卓平

宮永遼平さんとの演奏会でした。ご来場の皆さん、ありがとうございました。

宮永さんは実直な演奏家だと改めて思いました。ギターを流れるように弾き、目をつむり、少し苦しそうに歌う。弦の乾いた音に、うつむいた詩を見ました。郊外の、男のひとの、ロマンの世界だなと思いました。

「とき」を披露できて、よかったです。気合いでなんとかする、私の図太さがよく表れていると思います。とき、とは、そういうものだと思います。「麝香」は中西さんの音域としては、歌いづらいかな。

スマイレージアンジュルム中西香菜さんをモチーフにした楽曲「麝香」

経緯はこちら⇒しりとりエッセイ・麝香

soundcloud.com